2003/12/07(日)更新243回目
『兄さんのプロフィール3〜父の最後の借金〜』 |
掲示板一時休止の反響がかなり大きいです。多くの方から”残念だ”という内容のメールを頂きました。早く掲示板を復活させられるように頑張りますf(^_^;。それではまた、今日も暗い話をしようと思います(笑)。今日は兄さんのプロフィールの3回目です。
もうお気付きかもしれませんが、兄さんのお金に対する執念は、育ってきた環境と父に苦しめられたことから来ています。このプロフィールは、兄さんの自己紹介のページを作成した時に、そのページにて掲載しようと思います♪最近の日記は読んでいる方も暗くなっていると思うのですが、兄さんも同じで、自分で書きながら落ち込んでくるんですよね〜(笑)。やっぱり、過去を思い出したりしますしね
(*^^*)。
友達の結婚式に参加するために宮崎の実家に戻り、そして、友達との再会、結婚式を楽しんできました。この時は、兄さんの学費のめども立っていましたし、アルバイトをして貯めたお金が結構あったので、父の借金があった頃のような不安はありませんでした。そして、用事が済んだので名古屋に戻ろうと思った日の前日、兄さんは父に呼び出されました。確か『お前に話しておきたい事がある』という感じで呼び出されたような記憶があります。
父の表情が深刻な感じだったので、「もしかして…」と思いました。するとやっぱり、借金をしたからという話でした。父が借金を家族に告げる時は、返済できなくてどうしようもなくなった時です。
ですから、今回もかなりの借金であることは覚悟していました。いくら借りたのかをなかなか言わなかったのですが、しつこく追求すると、父は開き直ったように言いました。『400万!』。今までの借金の中で最高の額です。
今日の朝、妹から聞いたのですが、兄さんの知らないところで父は借金をしていたようです。50万円単位の返済をしていたことが何度かあったとのことでした。兄さんに言うと父と喧嘩するので、母が兄さんには黙っておくように言っていたようです。どうりで、いつも兄さんのお金に困っているはずです。納得(笑)。
と、話が少し飛びましたが、この時はもう「この人は頭がおかしいんじゃないだろうか…」と思いました。自分の妻を夜働かせ家族に迷惑をかけ、そして、親戚のおじちゃん、おばちゃんにも迷惑をかけて、それでやっと借金を返済したのに、今度は400万円ものお金を消費者金融から借りたというのです。
今回は金額が大きすぎますし、しかも、今までの父の借金により、兄さんの家には本当にお金がありませんでした。ですので、どう考えても返す見通しが立ちません。どうしようもならないと思いながらも、この時兄さんは凄く父を責めました。
それで父はどういう反応をしたのか…いつも通り酒を飲み、そして、開き直り、まるで悪びれた様子がありませんでした。その様子を見て、兄さんはハッキリと父に言いました。「お父さんはもう家にはいらない。俺達でやっていくから」と。
ですが、もちろん父は聞く耳を持たずでした。いつも通りにお酒を飲んで、そして、眠って。。またこれで何とかなると思っていたのでしょうね。でも、今回はそうはいきません。兄さんは最初に父が借金をした時から、父の借金を封じるための方法を探していました。その中の一つが父を『準禁治産者』にすることでした。
父をこれにしてしまえば、ほとんど未成年と同じ状態になります。つまり、成人(大人)としての権利を奪われた状態なので、クレジットカードなどはもちろん作れませんし、お金を借りるなんて事ももちろんできません。
ですが同時に、父親としての社会的な役割を果たすこともできなくなります。例えば、兄さんや妹がマンションに住もうと思い、誰か保証人を立てるように言われた時、父親では保証人として認めてもらえなくなるのです。
- ※準禁治産者
- 心神耗弱者または浪費者が、家庭裁判所によって「準禁治産」の宣告を受けた者。準禁治産者には保佐人が置かれ、重要な行為については保佐人の同意を要する。
兄さんは父を準禁治産者にしようと思い、名古屋に帰ってから、無料弁護士相談に出かけました。でもなんか、数年前に法律が変わったみたいで、浪費者をこの状態にすることはできなくなったみたいですね。兄さんの話を聞いてもらった弁護士さんにそう教えて頂きました。
ということで、残る方法は、父に自己破産してもらうか、離婚してもらうかのどっちかです。もうこの時は、父の借金を代わりに返済しようという考えはありませんでした。もう何度も何度も騙されてきていますし、お金を借りれない状態にするか、父にいなくなってもらうかしか、父の借金の不安から逃れるすべはないと思ったのです。
少し話が飛びますが、色んな法律に関する本に書いてありますが、家族が代わりに借金を返済するのは良くないみたいですね。借金癖がある人は、トコトンまで追い詰められないと、また借金を繰り返すそうです。ですから、家族が代わりに借金を返済するのは本当に良くないとのことでした。
この事からも、今回は父の借金を返すことはできないと思いました。でも、父がいなくなってしまうのは嫌だったのです。兄さんは、2003/11/29(土)更新239回目更新の日記で書いた、兄さんのために流してくれた父の涙が忘れられなかったのです。お金さえ借りれない状態にしてしまえば、これからは家族4人で仲良くやっていけると思いました。
そして兄さんは、父に手紙を書きました。下に書くのは、この時兄さんがワードで作成し父に送った手紙です。父に手紙を書いたのはこれが最初で最後なので、少し堅い文章になっています。奨学金は兄さんが4年間借りたと仮定して計算し、卒業後15年で返済したとして金利などを含めて計算しています。
お父さんへ
資格の勉強や飛行機代が往復50,000円近くかかる事などがあり、なかなか家に帰ってこれませんが、お元気でしょうか?今日、こうやって手紙を書いているのは、お父さんが借りている借金の事と、○○家(兄さんの家)の今後について、兄さんなりにイロイロと考えてみた事や、調べてみた事があり、それをお父さんに伝えようと思ったのが理由です。
まず結論を言ってしまうと、お父さんの借金を返すのはもう無理です。お父さんは、今現在(2002/08/01)、○○家にいくらの借金があるのかご存知でしょうか?現実を話すと、今、お父さん、お母さん、兄さん、妹、家族4人全員に借金がある状態なのです。下にその総額を記します。
名前 |
返済する所 |
借金総額 |
月々の返済額 |
年数 |
お父さん |
消費者金融+銀行 |
4,000,000円 |
−− |
−− |
お母さん |
○○生命 |
500,000円 |
−− |
−− |
兄さん |
日本育英会 |
3,018,568円 |
16,796円 |
15年 |
妹 |
日本育英会 |
1,000,000円 |
−− |
−− |
○○家借金総額 |
8,518,568円 |
−− |
−− |
上に示した通り、現在○○家には『8,518,568円』の借金があるのです。今までに数回、兄さんや妹の学費積立を崩したりして、家族全員でお父さんの消費者金融への借金を返しました。そして、お父さん借金は『0円』に戻りました。もしかすると、お父さんは、そこで安心したのかもしれませんね。
しかし、違うのです。その返した分の借金は、お母さん、兄さん、妹がそのまま肩代わりしている状態なのです。上のお母さん、兄さん、妹、三人の借金総額を足してみて下さい。合計で『約4,500,000円』になります。お父さんはこの金額を見て何か感じませんか?
そうです。これは、お父さんが消費者金融へした2度の借金を、家族で返した金額とほぼ同じです。お父さんの2度の消費者金融への借金は『0円』になった訳ではなく、お母さん、兄さん、妹にそのまま残っているのです。
今回お父さんの借金を返すとなるとどうなるのかも、一緒に考えてみました。その結果ですが、今回も同じです。お父さんの4,000,000円の借金を返した場合、その金額をそのまま、お母さん、兄さん、妹で背負う事になります。まず、兄さんの場合で言うと、お父さんの借金を返すとなると、今の奨学金の額では大学に通えなくなります。だから、今借りている金額の倍、つまり、『月100,000円』を借りないといけなくなります。
卒業まで、残り1年7ヶ月(19ヶ月)あります。これで月100,000円借りたとすると、
100,000円×19ヶ月=1,900,000円
という額になります。これだけの借金+利子を兄さんが返すことになるのです。日本育英会に返済しないといけない額も、さっき示した3,018,568円から、6,000,000円以上になり、借金の総額は一気に倍以上に跳ね上がります。
お父さんもご存知の通り、今(2002/08)は給料は上がらないし、ボーナスも出ない会社が多い状態です。そんな世の中の状態の時に、兄さんが社会に出て行き、6,000,000円以上の借金を返していくことができるでしょうか?自分で思うのですが、この状態に陥ったら、おそらく俺は『自己破産』しないといけなくなると思います。
今話したとおり、兄さんだけでこんな状態になります。しかし、今回のお父さんの借金を返した場合の被害は、兄さんだけでは済みません。お母さんも妹も、兄さんと同じように苦しくなるでしょう。
今までお父さんを助けました。そして、今回も大好きなお父さんのために、家族みんなで借金を返す道を考えました。でも、もう無理なのです。今回の借金を返すと成ると、○○家は崩壊します。兄さんが一番確率が高いと思いますが、お父さんの借金を返した場合、お母さん、兄さん、妹の三人の内の誰かが、いづれ『自己破産』しないといけなくなります。
長い文章になってしまいましたが、お父さんを助ける道、○○家が家族四人で楽しく生活していける残された道はただ一つです。それは、『お父さんに自己破産してもらい、借金を0円にする』しか方法がありません。
これをやらないと、○○家は崩壊してしまいます。この方法が家族4人で生活していける最後の、唯一の手段なのです。自己破産するためのサポートは、兄さんが妹が一生懸命にやります。お父さんの助けられるように努力します。だから、俺と妹に協力して下さい。兄さんのお父さんは、この世界でたった一人です。他の人がどう言おうとも、兄さんはお父さんを信じています。お酒やタバコは控えめにして、お体にはくれぐれもお気をつけ下さい。
名古屋よりお父さんへ 兄さん
兄さんの家にはすでに貯金ありませんでしたし、父の借金は、年利28%の消費者金融からです。仮に父の400万円の借金を1年間ほったらかしたとすると、
1年後には512万円に膨れ上がっている計算です。兄さんは大学を休学して仕事をし借金を返す事を考えましたが、それでは焼け石に水のように感じました。今回の借金を返す途中で父がもう一度借金をすれば、それで終わりですから…。
今まで書いてきた事から考えると、日記を読んで下さるみなさんは『最低な父親だ』と思われたかもしれません。でも、兄さんは父の良い部分もたくさん知っていますし、また、自分のために泣いてくれた父も知っています。ですから、父がいなくなることだけは避けたかったのです。
父に自己破産をするようにお願いした理由は、借金を0円にしたかったのが一番の目的ではなく、父がお金を借りることを防ぐためです。自己破産をすれば、消費者金融から借金をすることはできなくなります。この手紙は最後の賭けでした。この手紙に書いた兄さんの想いが伝わらなかった時には、父にはいなくなってもらうしかないと思っていました。
何の返事も返ってこなかったので、兄さんは、実家の妹に父の様子を聞くために電話を入れました。妹:『お父さんは何も変わってないよ。お兄ちゃんの手紙は、1回読んだ後にテーブルの上にほかってあるよ』。その日の夜、兄さんの手紙の感想を聞くため、父に電話を入れました。兄さんの想いは通じなかったようで、自己破産をする気は全くないとのことでした。そして、面倒くさそうに電話を切られました。
この時、兄さんの父に対する想いは完全になくなりました…。
<続く…>
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