と、話が少し飛びましたが、この時はもう「この人は頭がおかしいんじゃないだろうか…」と思いました。自分の妻を夜働かせ家族に迷惑をかけ、そして、親戚のおじちゃん、おばちゃんにも迷惑をかけて、それでやっと借金を返済したのに、今度は400万円ものお金を消費者金融から借りたというのです。
今回は金額が大きすぎますし、しかも、今までの父の借金により、兄さんの家には本当にお金がありませんでした。ですので、どう考えても返す見通しが立ちません。どうしようもならないと思いながらも、この時兄さんは凄く父を責めました。
それで父はどういう反応をしたのか…いつも通り酒を飲み、そして、開き直り、まるで悪びれた様子がありませんでした。その様子を見て、兄さんはハッキリと父に言いました。「お父さんはもう家にはいらない。俺達でやっていくから」と。
ですが、もちろん父は聞く耳を持たずでした。いつも通りにお酒を飲んで、そして、眠って。。またこれで何とかなると思っていたのでしょうね。でも、今回はそうはいきません。兄さんは最初に父が借金をした時から、父の借金を封じるための方法を探していました。その中の一つが父を『準禁治産者』にすることでした。
父をこれにしてしまえば、ほとんど未成年と同じ状態になります。つまり、成人(大人)としての権利を奪われた状態なので、クレジットカードなどはもちろん作れませんし、お金を借りるなんて事ももちろんできません。
ですが同時に、父親としての社会的な役割を果たすこともできなくなります。例えば、兄さんや妹がマンションに住もうと思い、誰か保証人を立てるように言われた時、父親では保証人として認めてもらえなくなるのです。
- ※準禁治産者
- 心神耗弱者または浪費者が、家庭裁判所によって「準禁治産」の宣告を受けた者。準禁治産者には保佐人が置かれ、重要な行為については保佐人の同意を要する。
兄さんは父を準禁治産者にしようと思い、名古屋に帰ってから、無料弁護士相談に出かけました。でもなんか、数年前に法律が変わったみたいで、浪費者をこの状態にすることはできなくなったみたいですね。兄さんの話を聞いてもらった弁護士さんにそう教えて頂きました。
ということで、残る方法は、父に自己破産してもらうか、離婚してもらうかのどっちかです。もうこの時は、父の借金を代わりに返済しようという考えはありませんでした。もう何度も何度も騙されてきていますし、お金を借りれない状態にするか、父にいなくなってもらうかしか、父の借金の不安から逃れるすべはないと思ったのです。
少し話が飛びますが、色んな法律に関する本に書いてありますが、家族が代わりに借金を返済するのは良くないみたいですね。借金癖がある人は、トコトンまで追い詰められないと、また借金を繰り返すそうです。ですから、家族が代わりに借金を返済するのは本当に良くないとのことでした。
この事からも、今回は父の借金を返すことはできないと思いました。でも、父がいなくなってしまうのは嫌だったのです。兄さんは、2003/11/29(土)更新239回目更新の日記で書いた、兄さんのために流してくれた父の涙が忘れられなかったのです。お金さえ借りれない状態にしてしまえば、これからは家族4人で仲良くやっていけると思いました。
そして兄さんは、父に手紙を書きました。下に書くのは、この時兄さんがワードで作成し父に送った手紙です。父に手紙を書いたのはこれが最初で最後なので、少し堅い文章になっています。奨学金は兄さんが4年間借りたと仮定して計算し、卒業後15年で返済したとして金利などを含めて計算しています。
金持ち兄さんの自己紹介 9 へ続く…
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